“最初は試しに”から、なくてはならない存在へ──カウンターワークスのCodeRabbit活用事例


株式会社カウンターワークス は、「すべての商業不動産をデジタル化し、商いの新たなインフラをつくる。」をミッションに、商業不動産のデジタル化に取り組むスタートアップです。主力サービスである「ショップカウンター(ショップカウンター)」は、ポップアップストアの出展を支援するスペースのマッチングプラットフォームで、空きスペースと出展者をつなぐ新たな商習慣のインフラづくりに挑戦しています。
また、大型商業施設のリーシング(テナント誘致)業務を支援するSaaS「ショップカウンター エンタープライズ(エンタープライズ)」も展開しており、業界に根強く残るアナログな慣習をテクノロジーの力で効率化。大手デベロッパー企業との提携を通じて、急速に導入実績を伸ばしています。設立から11年目を迎えた今も、挑戦を続ける姿勢が印象的な企業です。
少数精鋭の開発チームで挑む、商業不動産のデジタル化
カウンターワークス社の開発組織は、「ショップカウンター」と「ショップカウンター エンタープライズ」という2つの主要サービスごとにチームが分かれており、それぞれの事業フェーズやユーザーに合わせたアプローチを取っています。ポップアップストアの出展支援を担うショップカウンターでは、少数精鋭のチーム体制で開発が行われています。エンジニア5名、加えてPO(プロダクトオーナー)やデザイナーと連携しながら、日々の改善に取り組んでいます。
「設計やアーキテクチャの意図が正しく伝わっているかを確かめたり、必要に応じて軌道修正することが、レビューにおける私の役割です」と話すのは、ショップカウンターチームでアーキテクトを務める阿部さん。普段の業務を通じて、レビューに限らず自身が描いたアーキテクチャの背景や意図をメンバーに伝え、チーム全体の設計力や理解を高めることにも力を注いでいます。レビューの比重が高まる中、その負担を軽減しつつ質を保つため、CodeRabbitが積極的に活用されています。
一方、商業施設向けのSaaSであるショップカウンター エンタープライズは、より多機能で広範な業務を扱うサービスとして、3チーム体制・各5名規模で開発が進められています。チームはCRMやSFAなど注力領域ごとに分かれており、スクラム開発を推進。エンジニアの栗田さんは「コードレビューは開発プロセスの中でも大切な位置づけとして捉えています。CodeRabbit等のAIを活用したレビュー・開発プロセスをよりチームに合った形で行うことができないか、チームの振り返りで話しが上がることが多くなっています」と話します。現場にはジュニアからシニアまで多様な人材が揃い、AIツールも活用しながら、技術と運用の両面でチーム力を高めているのが印象的です。
レビュー品質と負荷に苦慮
CodeRabbit導入前、カウンターワークス社の開発チームが抱えていたのは、「コードレビューにかかる時間と品質のばらつき」という日常的な課題でした。特にショップカウンターチームでは、少人数体制の中でレビューの負荷が特定メンバーに集中しており、阿部さんも「レビューが業務全体の中でかなりの比重を占めていた」と語っています。チームにはジュニアから中堅、シニアまで幅広い層が在籍しており、レビュー観点や指摘の深さに差が出ることも多く、品質を安定させる難しさがありました。
ショップカウンター エンタープライズチームでも、似たような状況が見られました。複数のサブチームに分かれた中でメンバーの得意分野や経験値にばらつきがあるため、レビューに時間がかかったり、重要な観点の見落としが発生することもありました。栗田さんは「レビュー精度や効率をもう一段階引き上げたいと思っていた」と振り返ります。また、成長フェーズにあるプロダクトとして、設計ミスや冗長な実装を早期に防ぐ仕組みが求められていました。
このような背景の中で、CodeRabbitの導入は特定の課題を解決するというよりも、まずは「試してみたい」という軽い動機から始まりました。結果的にチームの開発スタイルにフィットし、現在ではレビュー品質の底上げや、早期段階でのフィードバック取得といった形で、開発プロセスに確かな変化をもたらしています。
「当初は技術的、開発プロセス的に課題がありました。インフラやレビュー体制など、少しずつ整えてきた中で、CodeRabbitのようなツールが自然と必要になる段階に来たのだと思います」(CTO徳永さん)
最初の印象は“意外とちゃんと見てくれる”
CodeRabbitに対する第一印象は、「思った以上にちゃんと見てくれる」でした。形式的な文法チェックに留まらず、セキュリティや設計に関する観点からのフィードバックもあり、経験豊富なメンバーからも「自分が忘れていた視点を思い出させてくれる」との声が上がりました。一方で、指摘の解釈には慣れが必要で、当初はベテランと若手で受け取り方に差が出ることもあったと言います。
それでも、レビューの観点をチーム内で共有し、CodeRabbitのフィードバックをどう活かすかを議論していくうちに、自然とチームのナレッジが蓄積されていきました。導入のハードルが低く、スムーズに使い始められた点も、定着を後押しした要因です。
「面倒な設定なしで、すぐに導入できたのはよかったです。また、利用人数ベースの定額で利用できる点も、見積もりが明確になっていたので導入しやすかったと思います」
早期レビューで設計ミスを未然に防ぐ運用へ
CodeRabbitの導入から時間が経ち、今では複数の開発チームで日常的に活用されるツールへと定着しています。特にレビュー負荷の高かったチームでは、CodeRabbitが一次レビューを担うことで、人的リソースに余裕が生まれました。阿部さんの所属するショップカウンターチームでは、CodeRabbitの指摘を起点に設計やセキュリティについてチーム内で議論する場面も増え、コード品質の底上げだけでなく、ナレッジ共有のきっかけとしても機能しています。
一方で、ショップカウンター エンタープライズチームでは、CodeRabbitを「初期レビューのアシスタント」として活用しています。人間によるレビューの前にCodeRabbitに通すことで、コードの粗さや設計上の問題を早期に発見できるようになりました。指摘に対してはリアクションを取り、定期的な開発プロセスの振り返りにもCodeRabbitに関する話題が上がるなど、チーム全体の意識にも変化が見られます。
「僕たちのチームでは、完成度が高まってからレビュー依頼をするのではなく、あえて50%くらいの状態でCodeRabbitに見てもらうこともあります。設計の矛盾に早く気づけることもあったり、人間によるレビューを受ける前に一度整理できるのがいいですね」(栗田さん)
チームに寄り添うレビューへ、さらなる進化に期待
カウンターワークス社では、CodeRabbitを日々の開発に欠かせない存在として活用しながらも、その可能性はまだ広がっていくと考えています。特に期待されているのが、チーム固有の開発スタイルやドメイン知識をより深く理解したレビューです。指摘内容の正否だけでなく、「なぜそれが問題なのか」を文脈に応じて伝えられるようになることで、ジュニアメンバーの成長やチーム全体の設計力強化につながると期待されています。
また、レビューの重要度に応じた運用もさらに進化させたいと考えています。ショップカウンター エンタープライズチームでは、CodeRabbitからの指摘にはアクションを取る運用を試しています。今後は、より洗練されたフィルタリングやカスタムルールの設定機能が追加されることで、さらに実践的な活用が進むことを望んでいます。
「今後はCodeRabbitに“うちの開発チームらしさ”を学習してもらえると嬉しいですね。レビュー内容がよりチーム文化にフィットしてくると、より自然に受け入れられるし、フィードバックの活用もしやすくなると思います」(栗田さん)
CodeRabbitは、今後もカウンターワークス社の開発組織の成長を支えるパートナーとして進化していきます。
カウンターワークス社では、フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアなど、さまざまな職種で人材を募集しております。ご興味ある方は採用ページをぜひご覧ください。
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